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東京家庭裁判所 昭和38年(家)914号 審判 1963年1月31日

審   判

本籍並住所

東京都新宿区大京町二二番地の四

申立人

竹内えふ

本籍

東京都千代田区五番町四番地十

住所

東京都豊島区長崎町二丁目二十三番地

相手方

斎藤聖香

本籍

相手方に同じ

住所

申立人に同じ

未成年者

斎藤牧

右、当事者間の昭和三十八年(家)第九一四号親権者変更事件について、当裁判所は次のとおり審判する。

主文

事件本人の親権者を申立人に変更する。

理由

申立人及び相手方の各審問の結果と申立書添附の戸籍謄本等附属書類を綜合すれば、申立人と相手方とは朝鮮に本籍地をもつ法律上の夫婦であつたところ、申立人は昭和二一年三月一一日両人間の長女である事件本人を生んだが、昭和三〇年八月二七日協議離婚を為し、申立人は程なく日本に帰化し、相手方及び事件本人も本籍地は北鮮にあるも北鮮に帰国する意思など全くなく、共に日本への帰化の申請をなし(相手方は韓国民法に則り事件本人の法定代理人親権者父として事件本人の帰化申請をした。)昭和三七年九月一四日共に帰化を許され、申立人である母、相手方である父及び事件本人である子の三者が日本国籍を有するに至つた。なお事件本人は父母の離婚以来ひきつづき母である申立人に監護教育せられ何等の故障なく成長し今日に至り、相手方に於ても事件本人の親権者を申立人に変更するについて異議はないが、申立人の再婚のことなどから感情に疎隔をきたし、親権者の変更等について互に協議する意思のないことが認められる。

按ずるにさきに認定した事実に基けば結局相手方は法例第二七条第三項の規定に準じて韓国の法令を適用すべき朝鮮人であつたものと云うべく、そうだとすれば朝鮮民事令で朝鮮の独立後も事実上援用される日本民法(旧法)第八七七条の規定により事件本人は父母の離婚によつて父の親権に服すべきものであり、その後韓国新民法の施行をみるに至つたがその点については何等の変更をみないのである(朝鮮民事令一条、一一条、一九五七年二月二六日韓国代表団の口上書、韓国民法九〇九条参照)。しかし、さきに申立人が日本に帰化し更に昭和三七年九月一四日、相手方及び事件本人が帰化を許されるに至つて申立人と相手方である親と子である事件本人との親子関係は法例二〇条に則つて現在の父の本国法すなわち日本民法に準拠すべきところ、さきに認定した事実は民法第八一九条第六項の規定を準用して親権者を変更すべき場合に該当するものと云うべくよつて、主文のとおり審判する。

昭和三十八年一月三十一日

東京家庭裁判所

家事審判官 加 藤 令 造

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